多くの会計事務所では、テレワークの導入が難しいと言われています。その理由は、会計事務所特有の業務内容や環境に起因するものです。ここからは、その主な理由を紹介していきます。
会計事務所がテレワークに移行する上で、最も大きな障壁となるのが、紙の証憑の扱いです。経理業務では、領収書や請求書、通帳のコピーなど、多くの紙ベースの証憑を扱うことが日常的。こうした証憑は、手元での確認や管理が必要な場面が多いため、完全なリモート化が難しいのです。
特に税理士業務においては、顧問先から送られてくる資料が紙である場合がほとんど。そのため、これらの書類をデジタル化するために、スキャン作業が必要になり、それだけでも手間がかかります。また、法律上、紙の原本を一定期間保管する義務がある場合もあり、書類をデジタルに置き換えるだけでは解決できない場面もあります。
日本のビジネス文化では、契約書や請求書に押印を求める習慣が根強く残っています。これも会計事務所がテレワークに移行しにくい理由のひとつです。
契約書の締結や申請書の提出時に、押印が必要なケースでは、電子化が進んでいない場合にはどうしても出社せざるを得ません。また、紙の書類に押印するために事務所に来る必要がある場合もあり、完全なリモート業務は難しくなります。電子署名が法的に認められているものの、すべての取引先がこれに対応しているわけではないため、依然として押印を必要とする企業が多いのが現状です。
経理や税務に関わるデータは、非常に機密性の高いものです。顧客の財務情報や個人情報などが含まれるため、データ漏洩や情報の不正アクセスは、企業の信用に大きな影響を与える可能性があります。このようなリスクがあるため、セキュリティ対策が万全でない環境でのテレワークには慎重にならざるを得ません。
特に、テレワークでは自宅や外部から社内システムにアクセスするため、インターネットを通じたデータのやり取りが発生します。この場合、VPN(仮想プライベートネットワーク)やファイアウォールの強化など、セキュリティ対策が必要ですが、これらの設備が十分に整っていない企業も多く、情報漏洩のリスクが高まります。
また、セキュリティ上の理由で、会社のシステムや顧客データベースに外部からアクセスすることを制限している場合もあります。このように、テレワークを導入する際には、技術的な対応が不可欠となり、これがテレワーク導入の大きなハードルとなっているのです。
経理業務が在宅勤務に向かないと言われるのは、その特性上、紙ベースの作業が多いためです。領収書や請求書、通帳のコピーなど、多くの書類が紙で扱われており、これらの証憑を適切に管理するためには、物理的に手元で確認したり、ファイリングしたりする必要が出てきます。こうした作業は、デジタル化されていないと在宅勤務では対応が難しいのが実情です。
また、経理業務には毎月の締め処理や年次決算、納税申告など、期限が厳しく定められているタスクが多くあります。特に月次決算や年次決算は、正確さとスピードが求められ、期日を守るためには、急遽現場に出向いて対応する必要が出てくることもあります。こうした緊急対応が可能な体制を整えない限り、完全な在宅勤務は難しいと言われています。
さらに、取引先や銀行とのやり取りも経理の重要な業務の一つです。支払いの確認や取引先への請求書の送付など、オンラインだけでは完結しない作業が多く、物理的な書類のやり取りや対応が必要な場面が少なくありません。このように、経理業務にはオンライン化が進んでいない領域が多く、これが在宅勤務を難しくしている要因となっています。
まず、最も代表的な資格として挙げられるのが「日商簿記2級」です。簿記は経理の基礎となる知識であり、この資格を持っていることで、会計処理や財務諸表の作成ができることを証明できます。日商簿記2級は、経理職であれば多くの企業で評価されるため、まずは取得を目指すと良いでしょう。
次に「税理士試験科目合格」も、経理の専門知識を示す重要な資格です。税務業務に関わる場合、税法や会計法の知識が不可欠。税理士試験の一部科目を合格することで、特定の分野に強い専門性を持っていることをアピールできます。これにより、税務処理や決算業務をリモートで任される信頼感が高まるでしょう。
また、近年ではクラウド会計ソフトの導入が進んでおり、クラウドを活用できるスキルも必要です。「クラウド会計ソフト認定資格」などの資格を取得することで、クラウドツールを用いた経理業務を効率的に行う能力を証明できます。これにより、クラウドベースの経理システムを活用し、どこにいてもスムーズに業務を進めることができるようになります。
経理職の求人が集中するのは、1~2月と6~7月です。これは、企業の決算期に合わせた採用活動が行われるためです。日本企業の多くは3月を決算月としており、5月末までに税務申告を終えなければなりません。このため、経理部門では1~2月に求人を出して4月からの増員を目指す企業が多く見られます。
また、株主総会が終わる6~7月も、企業が半期決算や年度の後半に向けた準備として経理の増員を図る傾向があります。これらの時期は、新たな経理担当者を迎え入れる余裕が企業にあるため、求人が増える時期とされています。
繁忙期に入社してしまうと、他の経理メンバーも業務に追われており、新入社員の研修やサポートに時間を割くことが難しくなります。そのため、企業側としても、繁忙期の直前に採用を完了し、OJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)を行ってから繁忙期に備えるケースが多いです。これにより、新入社員が業務にスムーズに慣れ、十分なサポートを受けられる環境が整います。
例えば、3月決算を控えている企業は1~2月に経理の求人を出し、4月の入社に向けて選考を進めます。さらに、半期決算が控えている企業では6~7月に求人が増え、9月までに人員を確保するケースが見られます。したがって、1~2月や6~7月は、企業にとっても経理の増員を図りやすい「中途半端な時期」であり、転職者にとっては絶好のチャンスと言えます。
経理経験者にとって、繁忙期の直前や直後が最も効果的な転職時期です。例えば、9~11月に転職活動を行い、1~2月に入社するのが理想的です。また、6~7月に求人が多いため、決算を終えた7~8月の入社もおすすめです。これにより、繁忙期を避け、スムーズに業務に慣れることができます。
一方、経理未経験者は、企業が比較的落ち着いている閑散期に転職活動を行うのがベストです。8月、11月、2月など、企業の業務が少ない時期を狙うことで、手厚い研修やサポートを受けながら業務に慣れることができます。特に、未経験者にとっては、採用後の教育期間が重要なため、繁忙期を避けて転職することが成功のカギとなります。
経理職の求人は、年度末や半期決算の前にピークを迎えます。特に1~2月と6~7月は求人数が多く、転職活動を進めやすい時期です。経理職で在宅勤務を希望する場合、この時期に求人が増えることを意識しながら転職活動を進めると、より多くの選択肢が広がるでしょう。
さらに、求人が集中する時期を逃してしまうと、次に求人が増えるタイミングまで待つことになるかもしれません。そのため、1~2月や6~7月に転職活動を積極的に行い、求人のピークを見逃さないことが、スムーズな転職成功につながります。